林信行のインスタグラム(nobihaya) - 12月29日 13時48分


高松で見た日本発コンテンポラリーアートの新しい展望

Takamatsu Contemporary Art Annual
| Takamatsu Art Museum
高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.09 時どきどき想像
高松市美術館
【終了した展覧会です】

年末47都道府県で唯一行ったことのなかった香川県をたった1日だけ訪れたのは第10回の「高松コンテンポラリーアート・アニュアル」を見るため。
 2017年のMedia Ambition TokyoでZeotropeを3Dプリンターを使って立体化したような「toki- BALLET #01」という作品に大きな衝撃を受けたが、その作家、後藤映則さんから出品するから是非、見に来て欲しいと本当はオープニングに行く予定だった。しかし、色々な用事で時が流れ、ほとんど諦めかけていた所、なんと最終日であれば行けることがわかった。しかも、後藤さんに連絡を取ると最終日であれば、撤収の準備もあるので本人もいるという。
別府から豊後高田、そこからフェリーで山口県の宇部に30分だけ立ち寄ってからの高松というかなりの強行軍だったが、直島をはじめ、流政之美術館など行きたいところの多い香川県とのこれから始まる交流の第一歩としては最高の1日となった(うどんも一杯いただいたが、後藤さんに連れて行ってもらった骨付き鶏が美味しかった)。

さて、目当ての後藤さんの展示だが、これまでで最大規模の展示。
いつまでも見ていたくなる作品ばかりが部屋を埋め尽くしていた。
しかも、作家と一緒ということもあり、触れてはいけない作品の回転を止めてくれるたり、配置を変えてくれたりの大サービス(動画参照)。後藤さんの作品が、実はまだまだそのポテンシャルのほんの一部しか見せていなかったことを改めて知った。
しかも、今回、あえて自然光(=太陽)を使って、晴れた日だけ楽しめる作品を作ったり、そもそもZoetrope的なものは太古の昔からあったのではないかという想像の元に作られた、遺跡からの出土品のような作品を作っていたりとストーリーとしての奥行きもさらにプラスされており、面白かった。

もちろん、素晴らしかったのは後藤さんだけではない。
一番最初のギャラリーを埋めていた蝸牛あやさんの絹糸で刺繍された貝殻や石は、自然が作り出した太古の物語が刻まれたテクスチャーを感じさせステキだった。特に真っ黒のキャンバスに浮かぶ石の作品がきれいで印象に残った。

井上佐由紀さんの《私は初めてみた光を覚えていない》は、なくなり行く親類の目を写した最期の光という写真作品に続いて、産まれた直後のまだ機能を果たしていない赤ちゃんの眼をひたすら何百人、何百枚と写し続けた作品には吸い込まれるような魅力があった。

乾漆や漆、螺鈿の伝統技法や3Dデジタル技術と伝統技法と最新技法を融合して作品を作る保井智貴さんの木彫は、よく見ると無機質、それでいて人のような存在感を感じさせ驚かされた。

空洞や余白を視覚化し、“ 現在”を構成する空間の裏側を示唆したという大西康明さんの作品は、見えそうで見えない、分かり合えそうで分かりきれない人々の抽象的かつ繊細に表した作品が展覧会にいい余韻を与えてくれた。

1974年生まれから1984年生まれまでの5人の作家による展示は、日本のアートシーンがこれからさらに面白くなっていきそうな予兆を感じさせてくれた。
(後藤さん以外の4名の作家の方々、ぜひいずれ機会を改め、別投稿で詳しく紹介させてください)

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2020/12/29

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