INSIDE FUJINGAHOのインスタグラム(fujingahojp) - 5月17日 20時36分
【生誕140年】 清らなり、小林古径。
日本画壇に新風を吹き込んだ線描の名手、小林古径は今年で生誕140年。それを記念し、現在発売中の『婦人画報』6月号では、小林古径の特集をご紹介しています。
なぜ、古径の世界はこんなにも端正で、清澄なのか―。
その繙きを、日本の美術史家・美術評論家の山下裕二先生に解説していただいています。
<作品1>
《猫》 1946(昭和21)年 紙本・彩色 山種美術館
敗戦の翌年に描かれた作品。左下に桔梗を描くのみで背景を排除し対象を際立たせるモダンな画風。「1923年の欧州留学で立ち寄った、エジプトで猫の姿をした古代エジプト神像を見て影響を受けたのでしょう」(山下先生)
<作品2>
《清姫》のうち「日高川」(部分)1930(昭和5)年 紙本・彩色 山種美術館
紀州道成寺に伝わる安珍と清姫の物語を8段にわけて描いた連作のひとつ。ひと目惚れした修行僧・安珍を追いかけ疾走する清姫の姿。「余白の残し方、細い髪がなびく描写が誠に素晴らしい」(山下裕二先生)
<作品3>
《河風(かわかぜ)》 1915(大正4)年 絹本・彩色 山種美術館
床几に腰かけて水に足を浸す女性。手には琳派風の団扇を持っている。「古典にはない画題、縦長の画面に対して上方から女性を見下ろす構図、形式的でない水の表現などに日本画のモダン化を模索する意思が見えます」(山下先生)
<作品4>
《蛍》 1912(明治45)年 絹本・彩色 山種美術館
車の中にいる女性の姿をひと目見ようと、蛍を放って気を引く男。「『伊勢物語』からの引用ですが、画面のトリミングの仕方、車を傾けた動的な表現に新しい日本画への取り組みが感じられます」(山下先生)
<作品5>
《弥勒》 1933(昭和8)年 絹本・彩色 山種美術館
御舟とともに奈良・京都・近江へ写生旅行に行った翌年の作で、室生寺へ向かう途上、宇陀川沿いにある鎌倉期の磨崖仏を描いたもの。発表後も20年にわたって画室に置き、筆を加え続けたという。
古径の画家人生のなかで、互いを尊敬し意見を交わすことで力量を高めた年下の畏友、速水御舟の存在も忘れてはなりません。
今月5月20日(土)からは、東京・広尾の山種美術館で特別展『小林古径と速水御舟』が開催されます。ぜひ足をお運びください(編集N)
◎『婦人画報』6月号でご紹介の記事はこちら
https://www.fujingaho.jp/culture/art/a43831716/kobayashi-kokei-20230511/
■【特別展】『小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟─画壇を揺るがした二人の天才─』
近代日本画の歴史に大きな足跡を残した古径と御舟。それぞれの初期から晩年までの名品の数々を展示。共通点も多く、互いに尊敬し合い深い交流のあった2人の接点を示す作品や言葉も合わせて紹介する。前・後期合わせて、山種美術館所蔵の古径作品全37件が展示される。
DATA
会期:2023年5月20日(土)~7月17日(月・祝)
開館時間:10時~17時 ※入館は~16時30分まで
休館日:月曜(ただし7/17[月・祝]は開館)
料金:一般1,400円ほか
tel.050-5541-8600
会場:山種美術館
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2023/5/17