２−②『キャサリンヘップバーンの指輪』私は、始めは、1000ドルでも良かった物が、こんなに高くなっていくのは嫌だ！と思ったが、諦める気にもなれなかった。そこで、私は札を挙げてから、立ち上がって、壇上のハンマーを持っているおじさんに向って「すみません。私は、日本から来た女優です。私は、この指輪を本当に欲しいんです。でも、こんなにどんどん高くなっていったら、キャサリンヘップバーンさんだって喜ばないと思います」座っていたお客さん達が、ドッと笑った。「これから、どのくらい上がるのか分からないですけれど、私は、どうしても欲しいので、この辺でやめて頂けませんか」と訴えてみた。それで、さらにお客さんがドッと笑った。おかしかったのは、私の話を聞いてくれてた、真面目な顔をしたハンマーを持ったおじさんが、仰け反って大笑いしてたことだった。後で聞いたのだけれど、サザビーズのオークションが始まって以来、オークションの途中で、そんなことを言った人は、いないそうだ。会場全体が、まるでキャサリンヘップバーンの映画のように、ウィットにとんだ微笑みに満ちているように思えた。それでも、オークションは前へ進み、容赦なしに電話の女の人が「はい、14000！」えっ〜。「それ以上ありませんか？」とハンマーのおじさん。私は、競ってきたおじさんを見た。おじさんは、ニコニコして黙っていた。とっても優しいおじさんだ。「15000！」と私は、静かに叫んでみた。ハンマーを持ったおじさんは「はい、15000！15000以上はいませんか？」私は、ドキドキだった。会場は、一瞬シーンと静まりかえった。ハンマーを持ったおじさんは、辺りをちょっと見回して、ハンマーを何回か叩くと「では、キャサリンヘップバーンさんの指輪は、あちらのお嬢さんの物になりました！」会場にいた全員の人が、拍手して声をかけてくれた💕 私は、「わー！ありがとうございます」と言って、立ち上がった。その激戦の結果に出会えたのが、この指輪なのです💕 それなのに、どこかにしまいこんで、何年も行方不明になってしまっていたのです。そうしたら、昨日、まったく使ってなかったバッグを、何の気なしに手に取って、開けてみたら、その中に、その指輪と私が確かめるために撮った『冬のライオン』の写真3枚と、永六輔さんから、唯一もらった手紙が一緒に出てきました！何で、あのバッグにその2つを、一緒に入れたんだろう？驚く事に、今日は、「BS朝日のザ・ドキュメンタリー永六輔さん」の回収録の本番の日なのだ！永さんが、ある場所を私に、教えてくれたのかな？ありがとう💕

tetsukokuroyanagiさん(@tetsukokuroyanagi)が投稿した動画 - 2017/02/23 16:47:00