猫沢エミさんのインスタグラム動画 - (猫沢エミInstagram)「《パリ・盗難日記 / 14日目》そうだ。昨日の日記に書き忘れたことがあった。昨日の朝、どこからどうみてもAppleからの警告メッセージのようなものがSMSに届いた。しかもそこには盗まれた私のiPhoneの型と搭載されていたメモリーの数値まで書かれていて、「あなたのiPhoneが使われています。すぐにここへアクセスして確認してください」とな。当然、焦った。まさか……犯人が私のiPhone内に侵入できていて、データを乱用しているんじゃ……。こんなタイミングで送られては、考えずにはおられんよね。でも、Appleにはすでに前iPhoneの盗難届けは済んでいる。「なんか、おかしい…!」とギリギリ踏みとどまって、彼とアリソンにフィッシングメールかとうかを確認してもらったところ、やはりフィッシングだった。機器を盗まれたことなんかよりも、こうしたストレスの方が多大。しかも何と闘ってんのか、もはやわからない。朝から嫌な気分に突き落とされたけど、ここでまた凹むのはヘタレすぎると、気を取り直して向かったモノプリで、滞在許可証のdepulicata （-デュプリカタ/謄本、写し）を申請するために必要なデジタル番号付き証明写真を撮る。はーい、この機械、タイミングの掴めないシャッターチャンスだの、椅子の高さが変えられなくて空気椅子で息を止めて撮る苦痛付きっていう、フランスっぽいもの。なんとか写真は撮れたようだが……..あれ？デジタル番号どこ？慣れてなくて、私がどっかボタンを押し間違えたんだろうな…….ハハハ　８€も払って、人相の悪いプリクラを撮っただけか。そうか、今の私は写真も撮り損ねるほどポンコツか。カラカラと空回りする己の寂しげなエンジン音を聞きながらモノプリを出てみると、広場から女性の声が聞こえた。「ネコー　ネコー」ん？　猫？　すると植え込みの茂みから、美雨ちゃんとこのサバちゃんみたいな雉白の猫が現れた。思い切ってマダムに声をかけてみると、もう１匹ロシアンブルーの猫もいて、猫たちは自由に散歩中なのだそう。ちなみにこの２匹、この広場の外歩きには慣れていて、心配いらないのだとか。「２匹とも捨てられた子たちで、私が引き取ったんだけど、〝ネコ〟の命名は、前代の猫とは違った感じの、何かいい名前はないかなって考えていたところ、日本語のネコを知って。「ね」と「こ」の丸っこい響きが耳にも優しくていいなと思ったの。それと、猫って私が思うに、母音にアとオが入ってる二文字の名前だとわかりやすいみたいで、呼ぶとちゃんと来るのよね」マダムは50~60代くらいのナチュラルな感じの人で、モノブリの入っている近代アパルトマンに住んでいるという。日本も訪れたことがあるそうで「泥棒がいないこと！それと新幹線の快適さとデザインが近未来的なのに驚いた！」と。そんな話で盛り上がっていたら、もうひとり、通りすがりの猫好きマダムが参加して、パリの動物保護団体の話や、それぞれの猫との出逢い話で気がついたら1時間近く、3人で立ち話していた。ほー…….犬を飼っている人は、散歩で犬友ができるけど、猫は無理だよなあと思っていたら、猫友もこんなふうにできたりするのか、パリは。私たちは3人とも、このカルチエの住人で、もしかしたらまたこうして会うかもしれない。それぞれ名前だけを告げあって、特に約束したりもせずに別れた。縁があったら、また必ず会えるから。パリのエアーポケットにすっぽりはまり込んだような日々に、また猫の救いが現れた。コリーヌとソフィ、保護猫を引き取って人生を共に歩くマダムたちに会えてよかった。家に戻って再び、滞在許可証のデュプリカタ申請に必要な書類と、明日の朝、プレフェクチュールに駆け込む書類を四苦八苦しながら夜中まで揃える。相変わらずフランス政府のサイトは、お約束のシステムエラーで先に進まない。コロナ以降、こうした手続きがネット化されて便利になった反面、サイトのシステムエラーが多すぎてらちがあかない、という問題も多発している。数年ぶりに顔面神経痛が勃発。母とイオちゃんの見送り時、ずっとなってたなあ。ま、ストレスが体の内側の見えないところに出るよりかわかりやすくていいよ。言葉では表現できない不安な気持ち。これが社会手続きに翻弄される在仏外国人が、危機に直面した時の正直な心境。しかしやるしかない。こんなものはどう考えても無駄だと思う書類も全部持って、絶対に受け付けてくれない窓口だとわかっていても訴えてみること。やってみるしかないのだ。 #猫パリ　#猫沢エミのインターナショナル五十路ライフシフト #猫沢エミリーパリへ行く #猫沢エミのパリ盗難日記」10月26日 19時07分