猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月24日 20時15分
《パリ・盗難日記/ 12日目》前編
結果から申し上げますと、ふたたびヴァカンスに行けなくなりました(꒪⌓꒪)
今回スラれたバッグには財布も含まれており、その中には滞在許可証もあったわけなんだけど、ヴァカンス先のレユニオン島は海外圏とはいえ、フランス国内。通常はパスポートのみで、飛行機に乗れるはずだった。ところが、オルリー空港の某航空会社のチェックイン時、係のマダムに止められた。
「あなたのパスポートにあるVISAは切れてるわね。で、滞在許可証は?」
「だからさっきから説明してるでしょう⁉️10月12日に盗難があって、警察に盗難届は出し済、ハイ、これがレセピセ(受領書)!確かに許可証自体の再申請はこれからだけどパスポートは期限内。いったい何が問題だっていうの💢」
そもそもパスポートコントロールの警察官でもないのに、この人に判断する権限があるのかすらわからない。しかし、フランスの場合、当たった人がテコでも動かない場合NGっていう不条理極まりないことがよくある。逆に、公の場所でも必死に訴えればなんとかなる(当たった人の心を動かしたらOK)ということも。
らちがあかないので、レユニオンの彼に電話をしてマダムと話してもらい、フランス人レベルの泣き落とし説得も試みたが、マダムが彼に説明しているのを聞いていて「こりゃ、ダメそうだな」と感じた。レユニオンは確かにフランス国内ではあるけれど、海外圏という地の利を活かした(?)不法滞在・労働etcなどは多いんだろうし、身分証明に関しては厳しい渡航地らしかった。
マ ジ で ?
なすすべなく、チェックインの列から外された私は、スーツケースにPCの入ったトートバッグ、という、さっき家から出てきたままの姿でオルリー空港のロビーにしばらく立ち尽くしていた。大家族が、旅特有の高揚感に包まれて、笑顔でゲートをくぐっていく。あゝ 普段の私も、あんなふうにきらめいて旅立っているのか……
その時、スピルバーグ監督の名画『ターミナル』が浮かんだ。トム・ハンクス扮する主人公、ビクター・ナボルスキーは、搭乗中に起きた母国のクーデターにより国が消滅し、彼のパスポートは〝もう存在しない国のもの〟とみなされ無効に。地球上から自分を証明するものが国ごと消えてしまったビクター。そんな彼は、まるで〝人間の存在とは?その意義とは?存在の証明とは?〟と自答するかのように空港内を彷徨いながらも、豊かな人間性で彼だけのオリジナルな人生を築き上げていく(実話に基づいた物語で、モデルは1988年からシャルル・ド・ゴール空港に18年暮らしたイラン人のハーン・カリミ・ナセリ)。
ビクターは引き返す国失い、入国することもできなかったけれど、幸い私は引き返すことができる。頑丈な鍵付きの快適なアパルトマンには、愛する猫たちも待っていてくれる。
「帰ろ!」
今日のパリは雨。行きのUber は、ちょっと渋滞に巻き込まれて時間がかかったけれど、帰りのタクシーはあっという間に我が家へ到着した。
空港から電話をかけておいたタタまどか(今日から猫たちの面倒を見てもらう予定だった) @moka.lby が、さっき見送ったばかりの私に「おかえり♡」と特大のハグをくれた。
なんだろう、お金が無駄にかかる、この壮大なコントは。
まどかちゃんはすごい細身なのに、私のスーツケースを階段で上げてくれた。その上、「ハイ」と手渡してくれたのは、私の電話を受けてから急いでこしらえたサラダとドレッシングだった。
「よく混ぜて食べてね。今日はもうなんにも考えずに、これ食べて寝ちゃって!」
私の大好きな女優・ふせえりさん似の顔とキャラを持つ、陶芸家のタタまどかは慈愛に満ちた眼差しで帰って行った。
空港から電話して、まどかちゃんがうちに到着するまで40分あっただろうか?その間に、まどかちゃんは失意の私を気遣って、キヌアとパプリカとブロッコリーの彩豊かな丁寧なサラダをこしらえてくれたのか。
《優しさに包まれたなら きっと
目に映る すべてのことは メッセージ》
写真1枚目:
茫漠としてタクシーを待つ雨のオルリー空港
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2023/10/24