AKOのインスタグラム(ako.cosme) - 7月7日 23時43分
忘れられない患者さんがいます。
私が看護学生1年生の実習で受け持たせて頂いた40代の女性患者さん。
病名は『両側前頭葉腫瘍•悪性神経膠腫グレードⅣ』。予後の悪い悪性の脳腫瘍です。
私が出会った時には、既に出来る治療はなく、緩和的な対症療法のみとなっていて、管という管で繋がれ自発的な行動は見られず、両手にミトンをはめられ、横たわって目を開閉するだけの状態でした。
カルテを見ると、彼女はバリバリ働いていたキャリアウーマンで、急に病気を発症し若い故に進行が早く、手術もしたけど改善は見られず、あっという間に周りの事を全て忘れ、自分では何も出来なくなり、言葉を発する事なく寝たきりになっていったとの事でした。
実習初日、無言でこちらを見る彼女を、私は見つめ返す事しか出来ませんでした。
高齢の両親の面会もあまりなく、私と彼女はただただ黙って2人で見つめ合い1日目を過ごしたんです。
私は自分を無力だと思いました。
医師でも出来る治療がないのに、私みたいな学生なんかに何が出来るのだろう?と。
ましてや喋る事もできないから、深い情報収集も出来ない。何をしたら良いのだろう?と。
とりあえず、出来る事がないので、彼女の身の回りを綺麗にする事にしました。
教科書で習った通りに、全身清拭や洗髪、口腔ケアなど思いつく事をやってみました。
数日後、彼女の荷物を片付けていると、棚の奥から彼女のメイクポーチを発見しました。
ポーチを開けると、そこにはジョンマスターオーガニックのリップクリームとボディミルクが入っていました。
『これは!!』と私の中の何かが湧き立ちました。これこそが、彼女のこだわりだったんじゃないかなと思ったんです。
その日から、通常の清潔ケアにプラスして、処方されているワセリンではなく彼女の愛用品のリップクリームを唇に塗って、処方されたヒルロイドではなく愛用品のボディミルクを塗る作業を追加しました。
私達の周りにはボディミルクの良い香りが漂っていました。
『このリップ選ぶなんてツウですねーー、実は私も持ってます!』なんて1人で話しかけながらケアをしました。
答えは返って来ないのだけど、とても楽しかったのを覚えています。
数日経ったある日、彼女にリップクリームを持たせて見ました。それまで自発性が全くみられなかった彼女が、リップを口元に持っていく仕草を見せました。感動しました。
手を支え、一緒に塗りました。
その時、医師が出来る事がなくなった患者さんでも、看護師は出来る事が沢山あると気付きました。
最期の時まで、最期を迎えても、看護師は患者さんのその人らしさを支える事ができると。
彼女に教えてもらった気付きのおかげで、その後の実習は順調でした。もちろん体力的には辛かったけど、彼女のお陰で看護学生としての道標が胸の内にあったからです。
3年生になった私は、学校代表として、彼女の実習におけるケーススタディを看護学生学会で発表する事となりました。
『その人らしさを引き出す看護』という題名で。
承諾を得る際に、学校側からコンタクトを取ると、残念ながら彼女は私の実習終了から数週間後に亡くなっていた事がわかりました。
でも、彼女が教えてくれた教訓は、私の看護師人生にとても活かされ、多くの患者さんに還元する事が出来たと実感しています。
これから私は医療から美容医療の分野に移ります。
美容の分野でも『その人らしさを引き出す看護』ができると強く思っています。
私が関わらせて頂く患者さんには…
昨日より今日。今日より明日。
少しだけでも良いから自分自身を好きになって、前を向ける様な魔法をかけたいんです。
自信がなくても良いです。私も一緒に支えますから。
綺麗事と思う方もいるでしょう。
それでも良いです。
私は今まで、綺麗事を現実化してきた成功体験を持っているので、強く想い、言い続ける事と行動し続けることの大切さを知っているからです。
これから先の看護師人生。
あの患者さんに恥ずかしくないように、その人らしさを尊重した美容医療を提供出来たらと思います。
そして、患者さんがその人らしく生きれる選択を、看護師として全力で支援したいと思います。
皆様にお会い出来るのが楽しみです😊✨
クリニックの発表は7月半ばです✨
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もちろん、会えない皆様にも。実際にこれから色んな患者さんの症例を診させてもらう事や、もっとマニアックに美容を学ぶ事から、ライブやpostで何かしら還元出来たらと思っています✨会えなくても魔法をかけられる様に全力で頑張ります💪
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2020/7/7