猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 7月3日 18時54分

元彼の実家が、日本には珍しい三代続く敬虔なプロテスタントの家系だったので、付き合っていた当時、祝祭日のミサに参加すると、高名な司祭さんとお話しする機会が多々あった。

ひとことに牧師・司祭といっても、神の存在を前提に考える保守派と、神の存在は無論非科学的だとしたうえで、なぜ人間には宗教が必要で、その発祥を多角的に研究する革新派の人がいて、私は後者に大いに惹かれ、稚拙ながらあれこれ談義させて頂いた。

宗教とは、発祥当時の社会学であり、人間行動・心理学であり、また気象学に基づいてどのくらい作物が採れ、人々はどんな生活を営んでいたのか？など、トータルの学問なのだ。

いようがいまいが〝神〟という存在を据え置いたうえで、人間がなにに救われ、なにに依存し、なにに見放されるのか。また、神を全否定したあとの〝神席〟に座るのは、しょせん神によく似た、依存や指標でしかないのではないか。

そう。人は大なり小なり、目指すところを欲しがり、取りつく島を探し、依存せねば生きていくのが難しい動物なのだと思う。

それは愛なのか？依存なのか？または一過性のファン的心理なのか？と区別してもあまり意味がない気がしている。

と、自分のことを振り返れば、完全に家の三猫は私の愛であり、依存対象物だ。言い換えれば、彼らは神であり、私にとっての宗教と言えるかもしれない。

なににも、誰にも心を寄せずに生きるのはあまりに寂しいし、そのうえとても難しい。それが生き物でなく、薬や酒といった現実から10cm浮遊するためのものであったとしても、素面で生きるのが難しい人もこの世界にはたくさん存在し、それを例えば嫌悪できるあなたは今、たまたま恵まれたバランスで生きられている幸運な人であるだけで、なにかの拍子に向こう側へ転じる可能性も十分にある。

他者に対して、自分に対して、いつも余白をとって鷹揚に構えたいと思う私は、たぶんそうした考えで出来ているからなんだろう。

#東京下町時間

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