村上隆さんのインスタグラム写真 - (村上隆Instagram)「「もの派」と「SUPERFLAT」を繋ぐ太平洋戦争敗戦後の日本のアートの総括を、陶芸の動向と同期させながら行おうとしている連続グループ展の2回目。 陶芸↔現代美術の関係性ってどうなってんだろう? <現代美術の系譜に陶芸の文脈も入れ込んで> 参加アーティスト:李禹煥、菅木志雄、岡﨑乾二郎、日比野克彦、中原浩大、安藤雅信、坂田和實(古道具屋さん)  8月3日からやっております、同展覧会。 自分としてはかなり肝いりの展覧会です。 自分も55歳で、西欧の現代美術シーンへ「SUPERFLAT」を草案、展覧会実行して20年ほど経ちました。数年前に、吉武ミカさんがBLUM&POEで行った「太陽へのレクイエム:もの派の芸術」で「もの派」が西欧のアートシーンのメインスト リームに浮上してきて、「もの派」から「SUPERFLAT」の間の20年間の日本のアートシーンが、何も指し示すムーブメントの名前がないこと が、引っかかってきています。 「もの派」は純粋に現代美術のムーブメントですが、「SUPERFLAT」は現代美術目線ではあるものの、サブカルチャー、オタクカルチャーを包 括したビジュアルアート総体を思考する呼称ではありました。  未だ無名の20年間は、何故無名かと言えば、それはバブル経済の勃興と消失との関係性があると思うのです。つまり、日本が全くもって反省しきりな 20年間。 「SUPERFLAT」はそのバブル経済崩壊後の焦土と化した文化総体情けない姿の起因、そのリアリティを描き示そうとしたのですが、僕は当事者 ではないと言う意識が合ったので、その20年間は敢えてオミットしていました。ですが、誰もその空白を埋めようとしない。なので、なんとも機能不全な状態となっています。アメリカのアートムーブメントで言えば、ニューペィンティングの時代。  日本でももちろんその模倣、追従はありましたが、それよりも経済の肥大が怪物的で、人々は狂騒し、アートになっていない発狂に近い、訳のわからん ものになっていたと思うのです。その狂騒の当事者達を今一度召喚して思考する、が、このシリーズのテーマになってきました。  僕はこの10数年、日本の現代陶芸を趣味でコレクションしてきました。いろいろ詳しく知ってくると、空白の20年間の時代と陶芸の隆盛の歴史がリンクしていることが見えてきたのです。陶芸の隆盛は、バブル経済全盛時 の表舞台の裏側で育まれた、バブルの影の世界。 では、バブルの光の世界はと言うと、当時、グラフィックデザイナーというタイトルであった日比野克彦さんが第一人者なのです。  彼の名は現代美術シーンに全く出てきておりませんが、日本の現代美術の専門誌「美術手帖」では、その煽りを食らって「もの派」以降のムーブメント がメチャクチャになったりしていたので、日比野克彦さんは現代美術を語る時にも、とても重要な作家さんだと思い返すにいたりました。 1982年、日比野克彦さんが、グラフィックアーティストとして、デヴューし、日本のクリエイティヴシーンをすべて飲み込んでいき、燦然 と輝いた、光そのものだった時代。 日比野克彦さんと、日本グラフィック展と、PARCOと、西武セゾングループマネーと、バブル経済とは、癒着し、あの頃そのものであったのです。  で、日比野さんのデヴュー作を今回の展覧会にどうしても展示させてもらいたくて、岐阜県立美術館のコレクションをお借りする所からはじめました。 で、その作品が来た。 僕が美術大学生時代に、さんざんメディアを通じてみてきた有名な作品です。  その現物を観て、いろいろ、、、本当に色んな思いが走馬灯のようにめぐり、その作品を見る前に思考していた本展のあり方を根本から揺るがされてし まったのです。 僕は日本のバブル経済の怪物性の正体が、マンガ「アキラ」に出てくる怪物、鉄男の覚醒した赤ん坊の姿そのものであり、コントロール不全な膨張一辺 倒な物であると想定していたのですが、日比野さんの作品の現物から見えてくる風景は、なんとも質素で等身大で、実に正直な物でした。 、、、と、日比野さんの作品一つ見ても、もう物語が壮大で、短文のエッセイでは済まされない規模なのです。なので、この展覧会を紹介する、上手な 文面が書ききれない。その為に、告知宣伝が展覧会前に出来ませんでした。  これから、何回か、この展覧会に関して、語ってゆこうと思いますが、まずは、日比野克彦さんのデヴュー作が、現代美術の文脈、しかも「もの派」を 継ぐ、第一走者としてメンションしたこの展覧会を、是非見に来てほしいと思います。  2017年8月3日 – 2017年8月30日 開廊時間 :11:00 – 19:00 閉廊日:日曜・月曜・祝日」8月5日 10時19分 - takashipom

村上隆のインスタグラム(takashipom) - 8月5日 10時19分


「もの派」と「SUPERFLAT」を繋ぐ太平洋戦争敗戦後の日本のアートの総括を、陶芸の動向と同期させながら行おうとしている連続グループ展の2回目。
陶芸↔現代美術の関係性ってどうなってんだろう?
<現代美術の系譜に陶芸の文脈も入れ込んで>
参加アーティスト:李禹煥、菅木志雄、岡﨑乾二郎、日比野克彦、中原浩大、安藤雅信、坂田和實(古道具屋さん)

8月3日からやっております、同展覧会。
自分としてはかなり肝いりの展覧会です。
自分も55歳で、西欧の現代美術シーンへ「SUPERFLAT」を草案、展覧会実行して20年ほど経ちました。数年前に、吉武ミカさんがBLUM&POEで行った「太陽へのレクイエム:もの派の芸術」で「もの派」が西欧のアートシーンのメインスト リームに浮上してきて、「もの派」から「SUPERFLAT」の間の20年間の日本のアートシーンが、何も指し示すムーブメントの名前がないこと が、引っかかってきています。 「もの派」は純粋に現代美術のムーブメントですが、「SUPERFLAT」は現代美術目線ではあるものの、サブカルチャー、オタクカルチャーを包 括したビジュアルアート総体を思考する呼称ではありました。

未だ無名の20年間は、何故無名かと言えば、それはバブル経済の勃興と消失との関係性があると思うのです。つまり、日本が全くもって反省しきりな 20年間。 「SUPERFLAT」はそのバブル経済崩壊後の焦土と化した文化総体情けない姿の起因、そのリアリティを描き示そうとしたのですが、僕は当事者 ではないと言う意識が合ったので、その20年間は敢えてオミットしていました。ですが、誰もその空白を埋めようとしない。なので、なんとも機能不全な状態となっています。アメリカのアートムーブメントで言えば、ニューペィンティングの時代。

日本でももちろんその模倣、追従はありましたが、それよりも経済の肥大が怪物的で、人々は狂騒し、アートになっていない発狂に近い、訳のわからん ものになっていたと思うのです。その狂騒の当事者達を今一度召喚して思考する、が、このシリーズのテーマになってきました。

僕はこの10数年、日本の現代陶芸を趣味でコレクションしてきました。いろいろ詳しく知ってくると、空白の20年間の時代と陶芸の隆盛の歴史がリンクしていることが見えてきたのです。陶芸の隆盛は、バブル経済全盛時 の表舞台の裏側で育まれた、バブルの影の世界。
では、バブルの光の世界はと言うと、当時、グラフィックデザイナーというタイトルであった日比野克彦さんが第一人者なのです。

彼の名は現代美術シーンに全く出てきておりませんが、日本の現代美術の専門誌「美術手帖」では、その煽りを食らって「もの派」以降のムーブメント がメチャクチャになったりしていたので、日比野克彦さんは現代美術を語る時にも、とても重要な作家さんだと思い返すにいたりました。
1982年、日比野克彦さんが、グラフィックアーティストとして、デヴューし、日本のクリエイティヴシーンをすべて飲み込んでいき、燦然 と輝いた、光そのものだった時代。
日比野克彦さんと、日本グラフィック展と、PARCOと、西武セゾングループマネーと、バブル経済とは、癒着し、あの頃そのものであったのです。

で、日比野さんのデヴュー作を今回の展覧会にどうしても展示させてもらいたくて、岐阜県立美術館のコレクションをお借りする所からはじめました。
で、その作品が来た。
僕が美術大学生時代に、さんざんメディアを通じてみてきた有名な作品です。

その現物を観て、いろいろ、、、本当に色んな思いが走馬灯のようにめぐり、その作品を見る前に思考していた本展のあり方を根本から揺るがされてし まったのです。
僕は日本のバブル経済の怪物性の正体が、マンガ「アキラ」に出てくる怪物、鉄男の覚醒した赤ん坊の姿そのものであり、コントロール不全な膨張一辺 倒な物であると想定していたのですが、日比野さんの作品の現物から見えてくる風景は、なんとも質素で等身大で、実に正直な物でした。 、、、と、日比野さんの作品一つ見ても、もう物語が壮大で、短文のエッセイでは済まされない規模なのです。なので、この展覧会を紹介する、上手な 文面が書ききれない。その為に、告知宣伝が展覧会前に出来ませんでした。

これから、何回か、この展覧会に関して、語ってゆこうと思いますが、まずは、日比野克彦さんのデヴュー作が、現代美術の文脈、しかも「もの派」を 継ぐ、第一走者としてメンションしたこの展覧会を、是非見に来てほしいと思います。

2017年8月3日 – 2017年8月30日
開廊時間 :11:00 – 19:00
閉廊日:日曜・月曜・祝日


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2017/8/5

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