磯貝サイモンさんのインスタグラム写真 - (磯貝サイモンInstagram)「KANさんが天国へと旅立っていきました。まだ受け止められていません。また必ず会えると信じていました。  KANさんの音楽との最初の出会いは、20代前半の頃にリサイクルショップで買った「東雲」でした。その後も徐々にアルバムを買い集め、独自の歌詞の世界にのめりこんでいきました。  「丸いお尻が許せない」と軽快なリズムで歌う言葉に戸惑いを隠せず、「言えずのI LOVE YOU」の"あのね、うんとね"で全てを表現してしまう才能に自分の稚拙な作詞セオリーを全部打ち砕かれ、「牛乳のんでギュー」を聴いて、きっとビリージョエルが好きな人に違いないと勝手にシンパシーを感じていました。  初めてご本人と出会ったのは、2012年に山形で行われた小山薫堂さんと寺岡呼人さんのイベントでした。  それをきっかけに2014年に「ピアノdeピンポン」というイベントにお誘いいただき、対バンさせていただいたのがステージでの初共演でした。  僕の「タイムマシン」という曲を気に入ってくれて、KANさん、風味堂の渡和久さん、Kくん、僕の4人でピアノ連弾アレンジで歌うという、やまだかつてない難解な演奏をしたのは今でも忘れられません。  その後時は経ち、2022年秋〜2023年春に開催されたKAN BAND TOUR「25歳」でKeyboardとしてご指名いただきました。  前任のKeyboard、故・矢代恒彦さんの遺志を引き継ぎ、矢代さんさながらの8台のキーボードを四方に並べ、全ておたまじゃくしで指定されたKANさん直筆の譜面を常に持ち歩き、必死で練習しました。矢代さんのように鍵盤に10円玉を挟んで音を鳴らしながら、他の鍵盤の演奏をする千手観音のような荒業までは真似出来ませんでしたが…  今年3月、ツアー最終日の終演後の楽屋で、ガンの告白を受けました。「治療が始まる前にみんなでパーっと飲みたい」という話になり、翌日すぐにKANさん行きつけのお店にメンバースタッフ一同で集まりました。  いつもは1軒目で帰るKANさんが「もう1軒行きたい」と言い出し、KANさんがいつも歌詞を書いているというバーに連れてっていただきました。今夜はかえさないよと言わんばかりに、うたた寝しそうになるくらいまで飲みました。  「ぼくはここで、ラララの仮歌が入ったデモテープをイヤホンで聴きながら何時間もずっと歌詞を書くんだ」と。僕とは作り方が真逆なので、一体こんな暗いバーでどんな風にあんな言葉が出てくるんですか?とか質問攻めしてしまいました。  その飲みの時に、KANさんがデビュー当時から使っていたYAMAHAのCP-80というエレクトリックグランドピアノを処分しなきゃいけないみたいな話が上がって、その時に「サイモンくんいる?」と言われ、さすがに巨大な楽器なので2秒くらい躊躇しましたが、すぐに「いります!」と答えました。  それがいま僕のスタジオに鎮座しているCP-80です。あれから毎月、オンラインライブではこのピアノでKANさんの歌を歌って闘病生活を応援してきました。KANさんもいつもベッドから見てくれていました。放送が終わったあと、いつもメールをくれました。  結局、僕が最後にKANさんにお会いしたのは、そのCP-80を受け取った2023/4/4でした。デビュー当時、一世一代のローンをしてこれを買ったんだ、と。6畳1間のアパートにこれを置いていて、友達が家に遊びに来たらぼくはこのピアノの下で寝てたんだ、と。「23歳」という楽曲の歌詞に出てくるピアノもこれのことなんだ、と。色々なエピソードを名残惜しそうに語っていました。  その後もメールはたびたびやり取りさせていただいておりましたが、先月末から途切れ、SNSも1週間ほど前から途絶えていて、まさに心配が募っていたところでした。  昨日、所属事務所の方からご逝去のお電話をいただきました。そのとき偶然か必然か、ちょうどCP-80を弾いていました。前に座るたびに、20代の頃のKANさんはどんな風に弾いてたのかなとか、これであの曲を作ったのかなとか、色々な想像がいつも頭をうごめきます。そんな最中でした。  抱きしめたくても抱きしめきれないくらい、とっても大きな形見となってしまいました。KANさんの生き様がたくさん詰まったCP-80に、僕の生き様を重ねていくように、これからも弾き続けていきたいと思います。  やりたいこと、ひらめいたこと、それが例え過去の例にないものであろうと、時に理屈を超越し、時に試行錯誤し、KANさん流に具現化していく様はこれからも僕の憧れです。勝手ながらこれからもファンとして背中を追い続けさせて下さい。  なんでも曲のネタにしてしまうKANさんのことなので、そのうち天国でもネタを見つけて天国から新曲リリースしてくれるのではと心待ちにしています。  でも今はしばらくごゆっくりされてください。こんな年下の僕にも優しくしていただき、ありがとうございました。大好きです。」11月17日 20時40分 - simon_isogai

磯貝サイモンのインスタグラム(simon_isogai) - 11月17日 20時40分


KANさんが天国へと旅立っていきました。まだ受け止められていません。また必ず会えると信じていました。

KANさんの音楽との最初の出会いは、20代前半の頃にリサイクルショップで買った「東雲」でした。その後も徐々にアルバムを買い集め、独自の歌詞の世界にのめりこんでいきました。

「丸いお尻が許せない」と軽快なリズムで歌う言葉に戸惑いを隠せず、「言えずのI LOVE YOU」の"あのね、うんとね"で全てを表現してしまう才能に自分の稚拙な作詞セオリーを全部打ち砕かれ、「牛乳のんでギュー」を聴いて、きっとビリージョエルが好きな人に違いないと勝手にシンパシーを感じていました。

初めてご本人と出会ったのは、2012年に山形で行われた小山薫堂さんと寺岡呼人さんのイベントでした。

それをきっかけに2014年に「ピアノdeピンポン」というイベントにお誘いいただき、対バンさせていただいたのがステージでの初共演でした。

僕の「タイムマシン」という曲を気に入ってくれて、KANさん、風味堂の渡和久さん、Kくん、僕の4人でピアノ連弾アレンジで歌うという、やまだかつてない難解な演奏をしたのは今でも忘れられません。

その後時は経ち、2022年秋〜2023年春に開催されたKAN BAND TOUR「25歳」でKeyboardとしてご指名いただきました。

前任のKeyboard、故・矢代恒彦さんの遺志を引き継ぎ、矢代さんさながらの8台のキーボードを四方に並べ、全ておたまじゃくしで指定されたKANさん直筆の譜面を常に持ち歩き、必死で練習しました。矢代さんのように鍵盤に10円玉を挟んで音を鳴らしながら、他の鍵盤の演奏をする千手観音のような荒業までは真似出来ませんでしたが…

今年3月、ツアー最終日の終演後の楽屋で、ガンの告白を受けました。「治療が始まる前にみんなでパーっと飲みたい」という話になり、翌日すぐにKANさん行きつけのお店にメンバースタッフ一同で集まりました。

いつもは1軒目で帰るKANさんが「もう1軒行きたい」と言い出し、KANさんがいつも歌詞を書いているというバーに連れてっていただきました。今夜はかえさないよと言わんばかりに、うたた寝しそうになるくらいまで飲みました。

「ぼくはここで、ラララの仮歌が入ったデモテープをイヤホンで聴きながら何時間もずっと歌詞を書くんだ」と。僕とは作り方が真逆なので、一体こんな暗いバーでどんな風にあんな言葉が出てくるんですか?とか質問攻めしてしまいました。

その飲みの時に、KANさんがデビュー当時から使っていたYAMAHAのCP-80というエレクトリックグランドピアノを処分しなきゃいけないみたいな話が上がって、その時に「サイモンくんいる?」と言われ、さすがに巨大な楽器なので2秒くらい躊躇しましたが、すぐに「いります!」と答えました。

それがいま僕のスタジオに鎮座しているCP-80です。あれから毎月、オンラインライブではこのピアノでKANさんの歌を歌って闘病生活を応援してきました。KANさんもいつもベッドから見てくれていました。放送が終わったあと、いつもメールをくれました。

結局、僕が最後にKANさんにお会いしたのは、そのCP-80を受け取った2023/4/4でした。デビュー当時、一世一代のローンをしてこれを買ったんだ、と。6畳1間のアパートにこれを置いていて、友達が家に遊びに来たらぼくはこのピアノの下で寝てたんだ、と。「23歳」という楽曲の歌詞に出てくるピアノもこれのことなんだ、と。色々なエピソードを名残惜しそうに語っていました。

その後もメールはたびたびやり取りさせていただいておりましたが、先月末から途切れ、SNSも1週間ほど前から途絶えていて、まさに心配が募っていたところでした。

昨日、所属事務所の方からご逝去のお電話をいただきました。そのとき偶然か必然か、ちょうどCP-80を弾いていました。前に座るたびに、20代の頃のKANさんはどんな風に弾いてたのかなとか、これであの曲を作ったのかなとか、色々な想像がいつも頭をうごめきます。そんな最中でした。

抱きしめたくても抱きしめきれないくらい、とっても大きな形見となってしまいました。KANさんの生き様がたくさん詰まったCP-80に、僕の生き様を重ねていくように、これからも弾き続けていきたいと思います。

やりたいこと、ひらめいたこと、それが例え過去の例にないものであろうと、時に理屈を超越し、時に試行錯誤し、KANさん流に具現化していく様はこれからも僕の憧れです。勝手ながらこれからもファンとして背中を追い続けさせて下さい。

なんでも曲のネタにしてしまうKANさんのことなので、そのうち天国でもネタを見つけて天国から新曲リリースしてくれるのではと心待ちにしています。

でも今はしばらくごゆっくりされてください。こんな年下の僕にも優しくしていただき、ありがとうございました。大好きです。


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2023/11/17

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