佐藤嘉洋のインスタグラム(yoshihirosato1981) - 11月4日 08時11分


355【小説】

「閻魔さま、けしからん罪人が地獄に落ちてきましたぞ」
「一体どうした?」
「そいつは地獄に落ちたというのに平然としているんです」
「それはけしからん。連れてこい」

閻魔の前に男は運ばれて来た。

「お前か? 地獄を怖がらん奴は」
「お前が閻魔か」
「お前とは失礼な!」
「お前がお前と言うなら、俺もお前をお前と呼ぶ。当然だろう。神の癖に馬鹿か」
「生意気な奴め。たっぷりと苦しめてやる」

「ところで閻魔よ、お前は人間の死後、生前の善悪を審判し、懲罰を与えると言うが、お前は地蔵菩薩の化身でもあるというじゃないか。もとは地蔵の癖に、自分より弱い人間を傷つけて楽しむお前こそ、地獄に落としてやる」
「残念。ここはすでに地獄でしたあ。わははは!」
「わははは。面白いだろ」
「ああ、久しぶりに笑わせてもらった」

「ということで地獄なんぞ何も苦しくない。自分の心が決めているだけだ。極楽だって、すべての願いが叶う退屈地獄さ。しばらくお前に付き合ってやる。さあ、一緒に針の山に行って串刺しになろうじゃないか。なあ、お前も本当は人間なんだろ?」
「お前、何様だ!?」
「もとはお前と同じ人間様だ!」

と、人間が閻魔に言った。



閻魔
えんま

意味
①仏教語。(梵語 Yama)
死後、人間の生前の善悪を審判・懲罰するという地獄の主神、冥界の総司(そうし)。地蔵菩薩の化身ともいう。

像容(ぞうよう)は、冠・道服を着けて忿怒(ふんぬ)の相をなす。

もとインドのヴェーダ神話に見える神で、最初の死者として天上の楽土(らくど)に住(じゅう)して祖霊を支配し、後に下界を支配する死の神、地獄の王となった。

地蔵信仰などと共に中国に伝わって道教と習合し、十王の一つとなる。

類義
焰摩
閻羅
閻魔王
閻魔大王
閻魔法王
閻魔羅闍(えんまらじゃ)

関連
閻魔天

②借金取り。
③(閻魔王がうそをついた者の舌を抜きとるという俗説に基づく)釘抜き。

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2023/11/4

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