偕成社のインスタグラム(kaiseisha_pr) - 8月7日 12時00分


「子どもを子どもあつかいしない」絵描きさんとの思い出から生まれた絵本

子どもの頃、憧れた大人––––こんな大人になりたいな、と思った人はいますか。

『海のアトリエ』は、昭和30年代の神奈川県の海辺を舞台に、堀川理万子さんが子どものころ、近所に住んでいた「子どもを子ども扱いしない」絵描きさんとの思い出から生まれました。

絵本ではじめて、Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞したほか、小学館児童出版文化賞、講談社絵本賞と三冠を達成しました。

最近、おばあちゃんと一緒にくらしはじめた「わたし」。おばあちゃんの部屋は、なんだかとても居心地がいいので、ふたりでよくおしゃべりをするのが楽しみです。「わたし」はあるとき、部屋の壁にかざられている女の子の絵について、おばあちゃんに質問します。

「おばあちゃん、この子はだれ?」

「この子は、あたしよ」

そうして、おばあちゃんが話し始めてくれたのが、その絵を描いてくれた女の人と過ごした、とある夏の特別な思い出でした。

そのころ、おばあちゃんはちょっと嫌なことがあって、学校へいけなくなっていました。そうして迎えた夏休み。母親の友人の絵描きさんに誘われて、ひとりでその人がすむ海のそばの家に遊びに行くことになったのです。

家族ではない大人と二人きりですごす一週間。絵描きさんは少女を「子どもあつかいしない」で、受け入れてくれます。何にもしばりつけられていない、そして、少女を何の枠にもはめない絵描きさんと過ごす、のびのびと自由な日々は、少女の心をしだいに解放していきます。

絵本には、白い紙を前に何を描けばよいか迷う少女に、絵描きさんがこんな言葉をかけるシーンがあります。

『人はだれでも、心の中で物語をつくることができるでしょ。だれでもみんな、心の中は自由だから。それをそのまま、描いちゃえば、いいのよ。どんなふうにだっていいのよ』

子どもたちにとって「こんな大人でありたい」と思いながらも、自由は、難しい! けれども、おばあちゃんがこの物語を「わたし」に手渡したように、そっとこの絵本を手渡してあげることはできます。

子どもも大人も、きっと誰しもの心に、すきとおった清々しい風を吹かせてくれる一冊です。

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2023/8/7

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