長与千種さんのインスタグラム写真 - (長与千種Instagram)「#2  その親戚は一軒家を一階二階と 二世帯で分けて2人の叔母家族が住んでいた。  あいこの部屋は二階の2畳程の部屋で布団をひいて壁に学生服と少しの私服をかけたら一杯になる部屋。  一階の叔母の家は一つ年上の 男の子と2人で暮らし 二階には叔母夫婦と一つ年下の男の子と小さな男の子と女の子1人。5人家族とあいこは一緒だった。  ある日 夕食の時に二世帯皆で食事を していた。 唐揚げが大きな皿一杯に並んでいた。 あいこは唐揚げを食べるのが 初めてでとても、とても美味しかった。何個目かの唐揚げに箸を伸ばした時に二階の叔母が 大きな声で  『あんた食べ過ぎよ!何個もたべたらダメ!あんたの親からあんたの生活費を6万円送られてきてるけど、食べ過ぎたらお金が足らないんだよ!!』  あいこは食べる事を怖くなった  不思議なルールも出来て お風呂は皆んなが入った1番最後 そんな事だから小さな部屋に篭って順番を待つ間に寝てしまう事もあったし、やっと順番が来たら湯船のお湯はほぼ無く水で身体を流す事も珍しい事ではなかった。  中学校は小学校と違い お昼は給食制度では無く 各自、お弁当を持参するか 購買部で各種類のパンを購入する為に購入表に名前と欲しいパンに○を付ける。 牛乳は月末に月の牛乳費を支払って購入する。  朝になると家の各階で朝食が 始まっていて、あいこは朝食を食べる事無く叔母に勇気を振り絞って、学校でのお弁当の話を したのだが叔母からは  『弁当は自分で作りなさいよ。私は朝からそこまでしてあげれない!』  あいこは お弁当はいいから パンと牛乳を買うお金を欲しい 頑張って口にした。  叔母は財布から 100円を2枚出して 『金喰い虫やね』と言いながら テーブルにバンと2枚の硬貨を 置いた。  あいこはその200円を 握りしめ外に出て全力で 走った。 家から学校までは距離があり 自転車かバスで通うくらいの 距離。とにかく全力で走った それは…きっと学校が遠いからではなく早く家から離れたかったのだ。  購買部でパンを一つ買う。 一つ120円の調理パン 本来なら教室で紙に書いてパンを購入予約するのだが 購買部のおばちゃんが好きで 優しくて、たまに口うるさいけど、それでも優しくて だから購買部にお昼になると 買いに行く。  パンを一つ買ったら 屋上に行って校庭を見ながら パンにかじりついた。  喉に詰まってしまう時に 牛乳が飲みたくなる。 屋上にある水道の蛇口に 手を添えて水を飲みながら 牛乳!と思いながら飲んだ。  1ヶ月のうちに 200円を貰えるのは 月の半分も無い。 だからパンを一つ買ったら 80円が残る。それを大事に 貯めてパンを購入した。  それでも 買えない時もあって 購買部の前を通ると おばちゃんが中に入れ!と 声をかけてくれて 中に入るとパンの残りがあって それをこっそりと 『内緒だぞ!早くたべろ』 と、手に握らせてくれた。  嬉しかった。  屋上で嬉しくて泣きながら 食べた調理パン。 相変わらずだけど 水道水が牛乳だった。  ある祭りの日 親戚がお寿司の仕出し屋さんを やっていて、祭りの出店の各所に配達するのに人手が足りないからと、お手伝いしてほしいと 言われた。  自転車の後ろに箱一杯のお寿司を詰めて、出店まで持っていく 。自転車で立ち漕ぎをして走った時に嬉しかった。 なん往復もして自転車を漕いだ  配達が終わったら 親戚のおばさんが 『助かったよー!ありがとうねー。これ、あいちゃんの寿司ね。あとこれは頑張ってくれたお礼ね。』と、五百円くれた。  この500円 頑張ったご褒美。  何に使うか五百円札を何度も 見ては嬉しくて考えて考えて  購買部にパンを買いに行った。 おばちゃんに 調理パンと牛乳!ください。 そして 五百円札を手渡した。  おばちゃんは とびきりの笑顔で パンと牛乳を袋にいれて 渡してくれた! おつりは…勿論貯金。  屋上に行って パンと牛乳を取り出して 校庭を見ながら 味わって食べた。  小学生時代 中学生時代  大人の顔色を伺い 気を使う事を覚えて 親が必死にお金を毎月 生活費として送ってくれて それなのに そのお金を足りないと。  でも他の 叔母さん達は 頑張ったらご褒美をくれたし おばちゃんは 何も聞かずにこっそり パンをくれた。  あいこは そんな経験から 大人になり 寿司屋の叔母さん 購買部のおばちゃんみたいに 優しくも厳しく 厳しくもあったかい そんな 大人を目標に生きていこうと。  あの 校舎の屋上で食べた 調理パンと牛乳 どんなご馳走より 美味しかった。  完  #短編集」8月22日 1時31分 - chigusanagayo

長与千種のインスタグラム(chigusanagayo) - 8月22日 01時31分


#2

その親戚は一軒家を一階二階と
二世帯で分けて2人の叔母家族が住んでいた。

あいこの部屋は二階の2畳程の部屋で布団をひいて壁に学生服と少しの私服をかけたら一杯になる部屋。

一階の叔母の家は一つ年上の
男の子と2人で暮らし
二階には叔母夫婦と一つ年下の男の子と小さな男の子と女の子1人。5人家族とあいこは一緒だった。

ある日
夕食の時に二世帯皆で食事を
していた。
唐揚げが大きな皿一杯に並んでいた。
あいこは唐揚げを食べるのが
初めてでとても、とても美味しかった。何個目かの唐揚げに箸を伸ばした時に二階の叔母が
大きな声で

『あんた食べ過ぎよ!何個もたべたらダメ!あんたの親からあんたの生活費を6万円送られてきてるけど、食べ過ぎたらお金が足らないんだよ!!』

あいこは食べる事を怖くなった

不思議なルールも出来て
お風呂は皆んなが入った1番最後
そんな事だから小さな部屋に篭って順番を待つ間に寝てしまう事もあったし、やっと順番が来たら湯船のお湯はほぼ無く水で身体を流す事も珍しい事ではなかった。

中学校は小学校と違い
お昼は給食制度では無く
各自、お弁当を持参するか
購買部で各種類のパンを購入する為に購入表に名前と欲しいパンに○を付ける。
牛乳は月末に月の牛乳費を支払って購入する。

朝になると家の各階で朝食が
始まっていて、あいこは朝食を食べる事無く叔母に勇気を振り絞って、学校でのお弁当の話を
したのだが叔母からは

『弁当は自分で作りなさいよ。私は朝からそこまでしてあげれない!』

あいこは
お弁当はいいから
パンと牛乳を買うお金を欲しい
頑張って口にした。

叔母は財布から
100円を2枚出して
『金喰い虫やね』と言いながら
テーブルにバンと2枚の硬貨を
置いた。

あいこはその200円を
握りしめ外に出て全力で
走った。
家から学校までは距離があり
自転車かバスで通うくらいの
距離。とにかく全力で走った
それは…きっと学校が遠いからではなく早く家から離れたかったのだ。

購買部でパンを一つ買う。
一つ120円の調理パン
本来なら教室で紙に書いてパンを購入予約するのだが
購買部のおばちゃんが好きで
優しくて、たまに口うるさいけど、それでも優しくて
だから購買部にお昼になると
買いに行く。

パンを一つ買ったら
屋上に行って校庭を見ながら
パンにかじりついた。

喉に詰まってしまう時に
牛乳が飲みたくなる。
屋上にある水道の蛇口に
手を添えて水を飲みながら
牛乳!と思いながら飲んだ。

1ヶ月のうちに
200円を貰えるのは
月の半分も無い。
だからパンを一つ買ったら
80円が残る。それを大事に
貯めてパンを購入した。

それでも
買えない時もあって
購買部の前を通ると
おばちゃんが中に入れ!と
声をかけてくれて
中に入るとパンの残りがあって
それをこっそりと
『内緒だぞ!早くたべろ』
と、手に握らせてくれた。

嬉しかった。

屋上で嬉しくて泣きながら
食べた調理パン。
相変わらずだけど
水道水が牛乳だった。

ある祭りの日
親戚がお寿司の仕出し屋さんを
やっていて、祭りの出店の各所に配達するのに人手が足りないからと、お手伝いしてほしいと
言われた。

自転車の後ろに箱一杯のお寿司を詰めて、出店まで持っていく
。自転車で立ち漕ぎをして走った時に嬉しかった。
なん往復もして自転車を漕いだ

配達が終わったら
親戚のおばさんが
『助かったよー!ありがとうねー。これ、あいちゃんの寿司ね。あとこれは頑張ってくれたお礼ね。』と、五百円くれた。

この500円
頑張ったご褒美。

何に使うか五百円札を何度も
見ては嬉しくて考えて考えて

購買部にパンを買いに行った。
おばちゃんに
調理パンと牛乳!ください。
そして
五百円札を手渡した。

おばちゃんは
とびきりの笑顔で
パンと牛乳を袋にいれて
渡してくれた!
おつりは…勿論貯金。

屋上に行って
パンと牛乳を取り出して
校庭を見ながら
味わって食べた。

小学生時代
中学生時代

大人の顔色を伺い
気を使う事を覚えて
親が必死にお金を毎月
生活費として送ってくれて
それなのに
そのお金を足りないと。

でも他の
叔母さん達は
頑張ったらご褒美をくれたし
おばちゃんは
何も聞かずにこっそり
パンをくれた。

あいこは
そんな経験から
大人になり
寿司屋の叔母さん
購買部のおばちゃんみたいに
優しくも厳しく
厳しくもあったかい
そんな
大人を目標に生きていこうと。

あの
校舎の屋上で食べた
調理パンと牛乳
どんなご馳走より
美味しかった。



#短編集


[BIHAKUEN]UVシールド(UVShield)

>> 飲む日焼け止め!「UVシールド」を購入する

 

14

2022/8/22

長与千種を見た方におすすめの有名人