平泉春奈さんのインスタグラム写真 - (平泉春奈Instagram)「『ただ一つ、あなたに伝えたいこと』   享年18歳。我ながらよく生きた。 それもこれもエリちゃんに出会えたからだって思う。  *******  だんだんものを食べたいと思わなくなった。日に日に身体が軽くなっていくのも感じていた。昔みたいにエリちゃんのパソコンデスクに飛び乗ったり、エリちゃんの足元にまとわりついて甘えた声を出せなくなった。でも毎日温かいお家で誰に邪魔されることもなくゆっくり眠りについてると、なんだか幸せだった。痛いこともないし、苦しいこともない。どこかで感じる終わりの瞬間を怖いと感じなかった。  ただ一つ心が痛むことは、エリちゃんが毎日私を撫でながら声を殺して泣いてること。 私の名前を呼んで、優しく細く骨ばった私を撫でる。気持ちいいのになんだか悲しい。エリちゃん泣かないで。私は大丈夫だよ。辛くなんかないよ。……人間の言葉が話せたらいいのにって思った。  その日、エリちゃんは朝から仕事だった。 家を出る前に何度も私を撫でて、何度も振り返ってから、どこか辛そうな顔をして出かけて行った。私はもう、水さえも飲みたくなくなっていた。動くのも億劫で、ずっと太陽が当たる床で寝そべっていた。時間の感覚も分からなくなり、ふと、どこかに身を隠したくなった。それが自分の動物的本能なのだというのは生まれた時から何となく分かっていることだった。  その時がきたのだと、悟った。ソファの下に引きずるようにして身体を潜り込ませる。 でもどこかで"エリちゃんに会いたい"という気持ちが湧き上がった。私は無意識に、体の全てが闇に隠れてしまわないようにした。 エリちゃんに会うまでは、生きていたい。 そう思いながら、強い眠気と戦った。  気付けば私はエリちゃんの膝の上で抱かれていた。温かくて柔らかいエリちゃんの膝の上。今までどれだけこの場所で幸せな時間を過ごしてきただろう。エリちゃんの声がかすかに聞こえてくる。私の名前を何度も何度も呼ぶ。耳をすます。  「ありがとう、待っててくれて、ありがとう。」  そんな声が聞こえてくる。エリちゃん、泣いてる。声が震えてる。泣かないで。  「出会ってくれて……一緒に生きてくれて……ありがとう。大好きだよ」  それは、私の気持ちだよ。フワリと記憶の扉が開く。  エリちゃんが初めて私を引き取ってくれた日のこと、すぐにエリちゃんのこと好きになった。エリちゃんが一緒に住んでいた男の人と別れた日、私を抱きながら大声で泣いていた。エリちゃんは私にとって、お母さんで親友で妹でお姉ちゃんで娘だった。  エリちゃんありがとう。それだけが伝えたかった。ずっと。ずっと。 意識が少しずつ遠のく。優しい光の中に吸い込まれていくように、私は深い眠りについた。   ※これは実話を元にした物語です。   ===================  先日妹の愛猫が旅立ちました。享年18歳でした。4歳の時に保護された猫ちゃんで、妹と14年間ずっと寄り添って生きてきた家族でした。  他界するまでの2週間、妹が毎日のようにその様子をLINEで送ってくれていたので、その日を迎えた時は私も本当に胸が痛かったです。でも話を聞いていると、すごく大事にされ愛された子だったので、幸せな生涯だったんだろうなと感じました。どうやったら苦しまずに穏やかに逝けるか悩み抜き、その結果、病院で延命治療するのではなく自宅で自然にその時を待つことに。  妹のそういう想いに胸を打たれてしまったので、今回の妹と愛猫のエピソードを猫ちゃんの視点で書きたくなり、妹の承諾を得て私なりの解釈で物語にしました。   本当は何を想っていたかなんて本人にしか分からないことだけど、こう想ってたらいいな、きっとこう感じてたんじゃないかなってことを言葉にするのは残された人の心を救います。想像力ってそのためにある気がします。  生きることは死に近づいていくこと。残された人のために自分ができることを日々考えて生きていきたいと思うキッカケになりました。  ※物語の登場人物の名前は、実在の人物の名前ではありません。    #猫 #猫の死 #最期 #死に際 #寿命 #人生 #ペット #ペット愛 #家族愛 #遺書 #看取る #女の子 #女性イラスト #ガールズイラスト  #インテリア #短編小説 #ショートストーリー #イラスト #感動 #ヒューマンドラマ #ポエム #短編  #illustration #cat #Illustrator」11月8日 20時04分 - hiraizumiharuna0204

平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 11月8日 20時04分


『ただ一つ、あなたに伝えたいこと』


享年18歳。我ながらよく生きた。
それもこれもエリちゃんに出会えたからだって思う。

*******

だんだんものを食べたいと思わなくなった。日に日に身体が軽くなっていくのも感じていた。昔みたいにエリちゃんのパソコンデスクに飛び乗ったり、エリちゃんの足元にまとわりついて甘えた声を出せなくなった。でも毎日温かいお家で誰に邪魔されることもなくゆっくり眠りについてると、なんだか幸せだった。痛いこともないし、苦しいこともない。どこかで感じる終わりの瞬間を怖いと感じなかった。

ただ一つ心が痛むことは、エリちゃんが毎日私を撫でながら声を殺して泣いてること。
私の名前を呼んで、優しく細く骨ばった私を撫でる。気持ちいいのになんだか悲しい。エリちゃん泣かないで。私は大丈夫だよ。辛くなんかないよ。……人間の言葉が話せたらいいのにって思った。

その日、エリちゃんは朝から仕事だった。
家を出る前に何度も私を撫でて、何度も振り返ってから、どこか辛そうな顔をして出かけて行った。私はもう、水さえも飲みたくなくなっていた。動くのも億劫で、ずっと太陽が当たる床で寝そべっていた。時間の感覚も分からなくなり、ふと、どこかに身を隠したくなった。それが自分の動物的本能なのだというのは生まれた時から何となく分かっていることだった。

その時がきたのだと、悟った。ソファの下に引きずるようにして身体を潜り込ませる。
でもどこかで"エリちゃんに会いたい"という気持ちが湧き上がった。私は無意識に、体の全てが闇に隠れてしまわないようにした。
エリちゃんに会うまでは、生きていたい。
そう思いながら、強い眠気と戦った。

気付けば私はエリちゃんの膝の上で抱かれていた。温かくて柔らかいエリちゃんの膝の上。今までどれだけこの場所で幸せな時間を過ごしてきただろう。エリちゃんの声がかすかに聞こえてくる。私の名前を何度も何度も呼ぶ。耳をすます。

「ありがとう、待っててくれて、ありがとう。」

そんな声が聞こえてくる。エリちゃん、泣いてる。声が震えてる。泣かないで。

「出会ってくれて……一緒に生きてくれて……ありがとう。大好きだよ」

それは、私の気持ちだよ。フワリと記憶の扉が開く。

エリちゃんが初めて私を引き取ってくれた日のこと、すぐにエリちゃんのこと好きになった。エリちゃんが一緒に住んでいた男の人と別れた日、私を抱きながら大声で泣いていた。エリちゃんは私にとって、お母さんで親友で妹でお姉ちゃんで娘だった。

エリちゃんありがとう。それだけが伝えたかった。ずっと。ずっと。
意識が少しずつ遠のく。優しい光の中に吸い込まれていくように、私は深い眠りについた。


※これは実話を元にした物語です。


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先日妹の愛猫が旅立ちました。享年18歳でした。4歳の時に保護された猫ちゃんで、妹と14年間ずっと寄り添って生きてきた家族でした。

他界するまでの2週間、妹が毎日のようにその様子をLINEで送ってくれていたので、その日を迎えた時は私も本当に胸が痛かったです。でも話を聞いていると、すごく大事にされ愛された子だったので、幸せな生涯だったんだろうなと感じました。どうやったら苦しまずに穏やかに逝けるか悩み抜き、その結果、病院で延命治療するのではなく自宅で自然にその時を待つことに。

妹のそういう想いに胸を打たれてしまったので、今回の妹と愛猫のエピソードを猫ちゃんの視点で書きたくなり、妹の承諾を得て私なりの解釈で物語にしました。
 
本当は何を想っていたかなんて本人にしか分からないことだけど、こう想ってたらいいな、きっとこう感じてたんじゃないかなってことを言葉にするのは残された人の心を救います。想像力ってそのためにある気がします。

生きることは死に近づいていくこと。残された人のために自分ができることを日々考えて生きていきたいと思うキッカケになりました。

※物語の登場人物の名前は、実在の人物の名前ではありません。



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2020/11/8

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