さだまさしのインスタグラム(sada_masashi) - 10月13日 10時10分


Mass@Mania
「ひとりごと」より全文掲載
『ハンコー的意見』
判子を無くそう、という意見に、僕は賛成のハンタイなのだ。
印鑑文化は日本特有の物で、台湾以外の外国には無いものだと言われると、却って大切な文化のような気さえしてきますね。
無駄な押印もあるでしょうが、廃止してはいけない押印もある筈だと思うのです。
これは簡単に決めずに、ぜひとも是々非々でしっかりと判断しながら考えていただきたい。
第一これはハンコ屋さんの仕事を奪うのですぞ。

確かにお役所でも普通の会社でも仕事の速度を奪うような無駄な押印は気が遠くなるほどあるのでしょうが、選りに選っていきなり最初に「婚姻届や離婚届の押印を廃止します」というのは「急にどうした?」と暴論のような気がするのは僕だけでしょうか。
本当にそれでインカン?
人生の中でも極めて大切な書類の、しかも人生の中では何十回も押すようなものではない物を「最初に」廃止するという発想が「ちょっと何言ってるかわかんない」感じです。

今から何十年も昔、僕が長崎で成人式を迎えたときに成人を迎えた人達全員に配られたのが何故か安田生命の青くて小さなプラスチックの印鑑ケースでした。
21歳で音楽事務所に入った僕はその時先輩に「社会人になったのだから、社会保険事務所へ行って社会保険の手続をしなさい。それから給料を貰うのだから銀行口座を開きなさい。それにはハンコがいるから用意しなさい」と言われました。
なるほどそうか、と思ってその時に生まれて初めて、いわゆる三文判を買いました。
実は今でも使っている銀行印はその時の三文判のままで、今も青くて小さな安田生命の印鑑ケースに入れています。
こうなると三文判とは言え、愛着が湧きますから、今では僕にとって、とても大切な思い出の品でもあります。
何かの大切な契約書を交わすときに自筆サインだけでは無く、その上に押印するのは「儀式」だけでない「己の責任と覚悟」を改めて自分でも確認させられる訳です。
あの有名な大借金をしたとき、印鑑を押すとき、自分の責任の重さと、その額の大きさに手が震えたのを覚えています。
つまり「決心を質す」という意味での大切な押印というのもあります。

事務手続上省いても何の支障の無い押印は沢山あるでしょうが、責任者の「決心」をはっきりと示すべき押印だってあるのです。
これは是々非々で判断すべき事です。
「めんどくさい」や「手間と時間が掛かる」或いは「元々無駄」という判断については慎重に議論すべきです。
この判断こそ「杜撰」であってはとても困ります。
決して1930年代のアメリカで行われた世紀の悪法「禁酒法」のようなバカなことになって欲しくないわけです。

たとえば僕は頼まれた色紙などに筆書きのサインをしたときにわざわざ自分で判子を押すことがあります。
「落款」と呼びます。
この文章や文字、場合によっては絵など、確かに僕が書きました、という「証明」に押すものです。
考えようによっては、最も不必要な押印といえるでしょう。
しかし白の紙、墨の黒に落款の朱が入ることで全体がきりりと締まることがありますから言わばデザインとしての落款の「朱」です。
こういう「落款」のために自分で石や木を刻んで自分のためだけのハンコを作る『篆刻』という楽しみなど、僕はとても心豊かで楽しい文化であると思います。

必要か必要で無いかを議論するのでは無く、どれに必要でどれに不要かを冷静に考え、議論する時間を惜しむべきでは無いと思います。

さてあなたはハンコ廃止に賛成派?反対派?
大事なことは果たして何なのでしょうね。
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2020/10/13

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