猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月1日 19時50分


私はなぜだか、なんでも竹を割ったように決断できる潔い人、というイメージで見られがちなのだけど、そんなことは全然ない。

現に、パリへの移住準備のため、具体的に動きはじめた途端、不安が押し寄せて、昨日から彼におかしな態度をとる羽目になった。

付き合いの長い彼は私の変化にすぐ気がついて、なにかあったの?と尋ねられたので、気持ちを隠せない私は、今の不安な心のなかを洗いざらいぶちまけたのだった。

なにもかもが怖い。50歳という後のない年齢で国を変えること。慣れ親しんだ家を売って、この快適な日常から去ること。不確定な未来のすべてを、フランスという不確定な国に預けること。そのうえ世界はコロナ禍で、事務的な手続きはより複雑に煩雑になって、なにもかもが予想しづらくなったことetc...

私はペシミストの心配性で、じつはとても怖がりなのだということを、ここ数日ひとりで部屋掃除をしている最中にあらためて認めてしまってからというもの、ネガティヴな思考に捕まって右往左往している小心者だ。

若い頃はそうじゃなかった。なにも知らない分、どこへでもどんな状況下でも怖いもの知らずで飛び込めた。32歳で初めてフランスへ行ったときも、そうだった。

今は違う。背負っている責任も、衰えた身体も、そしてなまじフランスとどっぷり付き合って、その大変さを知ってしまっているがゆえの怖さもある。あの頃とは比べ物にならないフランス語力、理解者の多さ、知識があるにもかかわらず、だ。

そうしたものが、一気に形となって目の前に現れた。ただ、自分がこうなるというのは予想はしていた。だから、気持ちのどこかで当事者のくせに、なにもかもを先送りにしたいような気持ちでいたんだろう。

ってことを、ぜんぶぜんぶぶちまけた。

私は気持ちを隠しておくことができない。今自分はなにを考えているのかをはっきりさせるために、言葉にして目の前に置かないとダメなのだ。

彼はめんどくさがるのでもなく、嫌な顔をするのでもなく、ひとつひとつ誠実に答えてくれて、私は不安の淵から這い上がることができた。なんと奇特な人だろう。

たぶんこれは序の口で、また怖くなったり不安になると思う。でも、あなたにお願いしたいのは、決して私の手を離さないで。そして、私をパリへ引っ張り続けて。と、私は言った。

50年ここで生きて、日本人としてなにもかもを作ってきた。それを変えるのだ。怖くて当たり前かもしれない。たぶんまた臆病風に吹かれる日もあると思う。でも、それもぜんぶせんぶひっくるめて、今の私がどう行動していくのかを見届けたい。

泣いたり、みっともなかったりしながら、ありのままの私と向き合っていこうと思う勇気が宿った。

さあ、ここからだ。

#東京下町時間 #五十路猫沢の渡仏物語


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2020/10/1

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