猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 9月23日 13時21分

ビストロ ブノワ(BENOIT) - Instagrammers Gourmet

しまった…うっかり告知が遅くなってしまったのだけど、現在、渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中の《新しい街 VILLE NEUVE-ヴィル・ヌーヴ》の劇場用パンフレットに、映画評を寄稿させて頂きました。

舞台は、1995年。英仏二言語が公用語のカナダにおいて、フランス語圏であるケベック州・モントリオール。歴史上二度目となる英語圏からの独立投票が行われようとしてた。そんななか、アル中の詩人ジョゼフと、別居中の妻であり作家のエマ、そして息子ユリスの視点を通して描かれる、個人の再生と民族の新しい未来への可能性。レイモンド・カーヴァーの名作短篇《シェフの家》から着想を得た、洗練の長編ポエティック・アニメーション。

作者は、視覚・聴覚にまつわる芸術表現を幅広く展開しているフェリックス・デュフール・ラペリエール。彼の映像世界にひとたび飛び込めば、むき出しの五感だけが残り、あたかも人の形をなくしてしまう浮遊感に包まれる。

全編モノクロで表現される、見たことのない映像美。水墨画にも通ずるような、白と黒の世界で、境界の曖昧な線とグラデーションは重なり合い、混じり、離れていく。一色の濃淡から紡がれる切れ目のないシークエンスは、日常のなかで刻一刻と移り変わる、私たち誰しもの心情をそのまま見せられているかのようだ。

既製の視覚世界に閉じ込められがちな今だからこそ、ぜひ観て頂きたい映画。

失うとは？歩み寄るとは？そして、再生とは？民族の独立という大きなテーマに、破綻しかけた個人の人生の立て直しと、人間のどうしようもない生の性を、限りなく美しい映像で見せてくれる、唯一無二の世界観をもった作品です。

全国順次ロードショー公開。詳細は、サイトにて。

https://newdeer.net/ville/

#猫沢映画館　#ヴィルヌーヴ　@_new_deer

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