さえりさんのインスタグラム写真 - (さえりInstagram)「10月5日。二子玉川の花火大会に行く。 ずぅっと続くグレーの空に、大きな花火が目一杯開いて、わあとかきゃあとか声を上げていたら、あっという間に終わった。 =  ずっと花火のことを、誤解していた。 花火は切なくて、悲しくて、胸がぎゅっとなるものだと思っていたが、どうやら花火を見ても切なくならない恋というものがあるらしい。  むかしは、バンバンと空に打ち上がる大きな音を聴きながら、虚ろな視線でいつもどこか遠い記憶を見つめていた。あの時、こうだった。あの時は、こうだった。そして今この時間も、すぐ消える。  隣にいる人が誰なのか、来年は誰といて、何を思っているのか。不確かな自分ばかりが浮き彫りになって、花火は好きなのに切なかった。  けれど夫と出会ってから、やっと素直に花火を見られるようになった。「来年も来ようね」と約束をして、シートの上で目一杯開かれた夫の手の上にわたしの手を重ねる。切ない花火は、もう終わったらしい。  #手書き日記」10月10日 0時03分 - n908sa

さえりのインスタグラム(n908sa) - 10月10日 00時03分


10月5日。二子玉川の花火大会に行く。
ずぅっと続くグレーの空に、大きな花火が目一杯開いて、わあとかきゃあとか声を上げていたら、あっという間に終わった。 =

ずっと花火のことを、誤解していた。
花火は切なくて、悲しくて、胸がぎゅっとなるものだと思っていたが、どうやら花火を見ても切なくならない恋というものがあるらしい。

むかしは、バンバンと空に打ち上がる大きな音を聴きながら、虚ろな視線でいつもどこか遠い記憶を見つめていた。あの時、こうだった。あの時は、こうだった。そして今この時間も、すぐ消える。

隣にいる人が誰なのか、来年は誰といて、何を思っているのか。不確かな自分ばかりが浮き彫りになって、花火は好きなのに切なかった。

けれど夫と出会ってから、やっと素直に花火を見られるようになった。「来年も来ようね」と約束をして、シートの上で目一杯開かれた夫の手の上にわたしの手を重ねる。切ない花火は、もう終わったらしい。

#手書き日記


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2019/10/10

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