甲斐みのりのインスタグラム(minori_loule) - 8月21日 11時14分


猫が大好きな小学生が描く夏休みの宿題。
1枚目/この夏小5の通称・だい(本名・大納言の姫君)
2枚目/小3のときのビド
・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・
ビドが亡くなったと知ったとき、泣いて押入れに閉じこもり、何時間も出てこなかった甥っ子。保護猫をひきとることを提案して、やっと扉を開けてくれた。今は、甥っ子いわくビドの生まれかわりだという「大納言の姫君」(通称・だい)を迎え入れ、毎日仲良く過ごしている。
・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・ 19年をともに過ごした愛猫・ビドが旅立った夜、水の中に横たわり、静かに眠りにつく夢を見た。少しずつ意識は遠きながらも、呼吸はゆっくり深く、熟睡時のように心地いい。ふんわり体を包む泡の中、私の体はじきにこの世界から消えるのだと気がつく。しかし不思議と心は穏やか。頭上の水面は眩しく輝き、光の先に家族や友人の気配を感じる。大好きな人たちに見守られていると分かると妙に安心できた。「案外怖くはないのだな。むしろ温かな気持ちで胸がいっぱい。みんなにも、私は幸せだと伝わりますように」そう願ったところで目が覚めた。
 日付が変わる少し前に静岡の父から電話があった。着信だけでビドの永眠を悟ったのは、もう何日も水さえ受け付けないほど衰弱していたからだ。しばらく静岡と東京を行き来していたが、仕事で東京にいる間に別れは訪れた。覚悟はしていたものの、最期にそばにいられなかったことを悔やみながら眠りについてあの夢を見た。旅の途中に東京へ立ち寄ったビドが、泣きながら眠る私の体にもぐりこみ、気持ちを伝え慰めてくれたのかもしれないと思うことにした。
 静岡でビドの葬儀を終えた後、父からメールで俳句が届いた。「思ひ出をのこし逝く猫冬銀河」「愛猫の遺骨の軽し雪の富士」
 実家に預けたこの2年で、ビドはすっかり父に懐いた。父の膝はビドの枕。ビドは父の湯たんぽ。長期休暇は小学生の甥が加わり、和やかな光景が日常に広がる。ビドは本を読む甥に寄り添いゴロゴロと喉を鳴らしたり、夜は寝相が悪い甥の腕枕を追いかけるように布団の中を転げ回った。それから甥も祖父のように俳句を詠んで、句を書いた手帳を開げてビドに見せた。「猫に小判」ならぬ、「猫に俳句」だ。そ知らぬ顔で船を漕ぎ出すビドの姿にまた一句。「春ごたついびきをかいて猫眠る」
 しばらく落ち込んでいた甥が、子猫を飼い始めた。名前は『更級日記』で作者の侍従の娘が猫に生まれ変わる話にちなみ「大納言の姫君」(通称・だい)。新たな猫の俳句が楽しみだ。
(毎日新聞への寄稿より)

#ビドビドビド


[BIHAKUEN]UVシールド(UVShield)

>> 飲む日焼け止め!「UVシールド」を購入する

758

0

2019/8/21

甲斐みのりを見た方におすすめの有名人