某カード会社からの電話で目が覚めた。内容は察しがついたので、マニュアル前口上を遮ってこちらは本題に入ったのだけど、驚いたことに私がしゃべっている間も、彼はマニュアルの読み上げを止めず、結果ふたりして別なことをいっぺんに話しているラテン人の会話のようなことになった。そもそも向こうが電話をくれたのは、私を気遣って…がベースなのになんだこの無駄な時間とギャグ感は…と思いながら、話が進まないので結局私が折れる形で、彼のマニュアルをはい、はい、と聞いて無駄な時間を満喫する羽目に。 いや、この人が悪いのではない。会社が悪いし、もっといえばそんな会社が存在している日本社会が悪いし、もっといえば自分の頭で普通に物事を考えられない国民を育てた日本の戦後教育が悪いのだ。 あれだけの敗戦後、日本はある時期国民が一丸となって国を復興せねばならなかった。でもこの思想は今からもうだいぶ前にお役を終えたはずなのに、国や社会のトップを仕切っている人たちがそもそもそうした中庸教育を受けて、バブルなども体験してしまったせいで、『ここから動きたくない』守りの姿勢に入ってしまった。ちなみに守っているのはこれからの未来や子供達に本当に必要な教育なのではなくて、『自分たちが生きている間だけはお金や地位に困らずに穏便に事を終えたい』のキモチだ。 国単位だろうが、小さなコミュニティーだろうが、会社だろうが、個人だろうが、所詮は人間のやっている事なので、面白いことに物事の真理は同じだったりするんだけど、何かが完成したり円熟しきった後で変革を行なっても時すでに遅しなのだ。 変えるタイミングは、超うまくいってるね!の絶頂あたり、欲を言えばもう絶頂が見え始めたあたりから変えなくては間に合わない。 おそらくこんなこと、私が今さら書く必要などないほどこの国には知の先導者がいて、何人もの人が進言してきたはずなのに、多くの大事な現場で、それらは変革を求めない人たちによって握りつぶされたんではないかしら。 先日、あるフリーランス業のフランス人たちと『日本人はなぜ意見を求めても口ごもるのか?』という話題になった。なぜ意味もなく緊張し、口ごもり、まともに話ができないのか。最初はフランス語や英語が得意ではないからじゃないのかという意見が出たけれど、ある人が『いや関係ないね。彼らはそもそも母国語で意見がない。物事を考え、それを頭の中でまとめる編集機能も人前で話すための演技力も培ってないからだ。それは日本の教育の負の遺産だ。』ごもっとも! 語学教室をやっている私は、常日頃、生徒たちに『自分の緊張をコントロールすることを意識しなさい。フランス語を通じて強いメンタルを作りなさい。』と言っている。せっかく覚えた単語も文法も、意味不明な羞恥心や緊張で80%も削がれてご覧なさいな。こんなに勿体無い話はないからね。 まず母国語で意見をきちんと持てるよう様々な体験と机上での作業をする。そしてそれをうまく編集できるよう、なるべく言語化する癖をつける。(たとえばこうゆうところでもいいから、きちんとした文章を書いてみるとかね)あの人が私の意見を代弁してくれたと共感している時間があったら、これをやったほうがいい。それがあって初めて他言語を学んだ時にも、自分の意見がヒューマンな感情を孕んだ状態で生きた言語として獲得できるのだから。それはかならず母国語の表現にもフィードバックする。そして、かならず個人としての人生を後押ししてくれる。その集合体が国や社会であってほしいんだよね。 #東京下町時間

necozawaemiさん(@necozawaemi)が投稿した動画 -

猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 7月31日 10時57分


某カード会社からの電話で目が覚めた。内容は察しがついたので、マニュアル前口上を遮ってこちらは本題に入ったのだけど、驚いたことに私がしゃべっている間も、彼はマニュアルの読み上げを止めず、結果ふたりして別なことをいっぺんに話しているラテン人の会話のようなことになった。そもそも向こうが電話をくれたのは、私を気遣って…がベースなのになんだこの無駄な時間とギャグ感は…と思いながら、話が進まないので結局私が折れる形で、彼のマニュアルをはい、はい、と聞いて無駄な時間を満喫する羽目に。
いや、この人が悪いのではない。会社が悪いし、もっといえばそんな会社が存在している日本社会が悪いし、もっといえば自分の頭で普通に物事を考えられない国民を育てた日本の戦後教育が悪いのだ。
あれだけの敗戦後、日本はある時期国民が一丸となって国を復興せねばならなかった。でもこの思想は今からもうだいぶ前にお役を終えたはずなのに、国や社会のトップを仕切っている人たちがそもそもそうした中庸教育を受けて、バブルなども体験してしまったせいで、『ここから動きたくない』守りの姿勢に入ってしまった。ちなみに守っているのはこれからの未来や子供達に本当に必要な教育なのではなくて、『自分たちが生きている間だけはお金や地位に困らずに穏便に事を終えたい』のキモチだ。
国単位だろうが、小さなコミュニティーだろうが、会社だろうが、個人だろうが、所詮は人間のやっている事なので、面白いことに物事の真理は同じだったりするんだけど、何かが完成したり円熟しきった後で変革を行なっても時すでに遅しなのだ。
変えるタイミングは、超うまくいってるね!の絶頂あたり、欲を言えばもう絶頂が見え始めたあたりから変えなくては間に合わない。
おそらくこんなこと、私が今さら書く必要などないほどこの国には知の先導者がいて、何人もの人が進言してきたはずなのに、多くの大事な現場で、それらは変革を求めない人たちによって握りつぶされたんではないかしら。
先日、あるフリーランス業のフランス人たちと『日本人はなぜ意見を求めても口ごもるのか?』という話題になった。なぜ意味もなく緊張し、口ごもり、まともに話ができないのか。最初はフランス語や英語が得意ではないからじゃないのかという意見が出たけれど、ある人が『いや関係ないね。彼らはそもそも母国語で意見がない。物事を考え、それを頭の中でまとめる編集機能も人前で話すための演技力も培ってないからだ。それは日本の教育の負の遺産だ。』ごもっとも!
語学教室をやっている私は、常日頃、生徒たちに『自分の緊張をコントロールすることを意識しなさい。フランス語を通じて強いメンタルを作りなさい。』と言っている。せっかく覚えた単語も文法も、意味不明な羞恥心や緊張で80%も削がれてご覧なさいな。こんなに勿体無い話はないからね。
まず母国語で意見をきちんと持てるよう様々な体験と机上での作業をする。そしてそれをうまく編集できるよう、なるべく言語化する癖をつける。(たとえばこうゆうところでもいいから、きちんとした文章を書いてみるとかね)あの人が私の意見を代弁してくれたと共感している時間があったら、これをやったほうがいい。それがあって初めて他言語を学んだ時にも、自分の意見がヒューマンな感情を孕んだ状態で生きた言語として獲得できるのだから。それはかならず母国語の表現にもフィードバックする。そして、かならず個人としての人生を後押ししてくれる。その集合体が国や社会であってほしいんだよね。

#東京下町時間


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2017/7/31

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