浜島直子のインスタグラム(hamaji_0912) - 6月13日 13時09分

同じタイミングで上京した小学校からの男友達がいた。それぞれ絶対に叶えたい夢があって、それはもうなりたいとかなりたくないとかではなく、ならなくてはいけないという、勘違いのような使命感に燃えていた。
事あるごとにご飯を食べ、近況報告し、お互いの彼氏や彼女を何人か紹介し合い、その間も使命感は萎えることなく、それぞれ目の前の道しるべをひとつ確認するごとに、その成果や不安や達成感を報告しあった。
ある日男友達が言った。「俺、結婚して福岡に行くことになったわ」
最後に家にご飯を食べにくるという日、私は何を作ろうかずっと考えていた。
何が好きだったっけ、何をよく食べさせたっけ、何を喜んだかな、、、。
昔々にサイコロステーキを作った時、「浜島、これなまらうまいわ！」と、すごく喜んでいたのを思い出した。
よし、肉だ。ならばまだ食べさせたことのない、ローストビーフにしよう。
奮発して和牛の塊を買ってきて、室温に戻し、しっかりと塩胡椒をふって、ニンニクのすりおろしを全体にすりこんだ。
魚焼きグリルを2分余熱し、肉を入れ、10分両面焼きで焼いた。
肉をグリルから取り出し、アルミホイルでしっかり包んだら、そのままル・クルーゼの鍋の中に入れ、蓋をしてゆっくりと冷めるのを待った。
ジワジワと、ゆっくり余熱で火が入っていく。それはもう熱い火ではないかもしれないけれど、かつて熱かっただろうという余韻で、別の素晴らしいものにだってなれる。
「浜島、これなまらうまいわ！」美味しそうに食べる男友達を見て、自然に笑顔になる。
よかった、よかったね。本当によかったね。おめでとう。幸せにね。
私は、たくさんあるからたくさん食べな、と、田舎のお母さんのように、笑いながらローストビーフをすすめた。

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