宋美玄のインスタグラム(mihyonsongkobe) - 3月25日 19時05分
公園に咲き乱れていたあらせいとうの花。あらせいとうと言えば、高校で暗唱した新川和江さんの詩が思い浮かぶ。懐かしいのでネットで見つけて載せました。
高校生の頃より共感してしまうのはなんか悲しいですが、良い詩ですね。#あらせいとう #春の花 #詩
わたしを束ねないで 新川和江
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮 ふちのない水
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,や.いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終りのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩
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2017/3/25